日本共産党市議団は５日、榎本政規市長に対し、「荘内病院の給食の委託中止」を求める要請行動をおこないました。市長との会談は１月中に申し入れていましたが、日程が取れないなどとして結局、委託業者を決めた後に回されました。
最初に、加藤太一団長が市長に要請書を手渡して説明、市長の見解を求めました。
市長は、「委託で中身が良くなるとは確約はできないが、病院経営が厳しい」「給食の品質は管理するので大丈夫」「地産地消は委託会社に理解してもらう」などと述べました。
市議団は、全国各地の委託による問題の実例を示し、委託では給食の質の確保や地産地消の推進は実行できないことなどを指摘しましたが、市長は委託推進の考えを変えませんでした。
この行動は、翌日の新聞各紙などで報道され、市民に反響を広げています。
■「市民の会」結成へ
市立荘内病院の給食が４月から民間委託される問題に対して、「市立病院の充実をめざす市民の会準備会」の学習会が３日、勤労者会館でおこなわれました。
「主催者挨拶」「給食現場の状況報告」の後、関徹市議が「市議会での経過と市当局の動向」について報告しました。
続いて、日本医労連病院給食対策委員会責任者の岡野孝信氏が「病院給食と業務委託を考える」と題して講演がおこなわれました。
岡野氏は、「病院給食は食事療法の手段としての治療食である」「業務委託は医療費削減をめざすもの」など、業務委託の問題点や住民のための自治体病院づくりについて１時間余り講演。「山形県の荘内病院と米沢病院は直営の給食を守ってきた自治体病院として全国に光り輝いていた。民間委託の話は本当に残念だが、直営を守る運動に取り組んでほしい」と訴えました。
最後に、「市民の会」の結成と当面の行動方針について提起され、全員の拍手で承認されました。
■事故米や毒入り食品、所得隠し
市立荘内病院の給食委託が予定されている業者は、東京丸の内に本社のある「日清(につしん)医療食品」で病院給食の最大手です。
農薬やカビ毒に汚染された工業用の「事故米」を食用に転売していた三笠フーズから事故米を仕入れ、中国のメラミン混入牛乳を使った丸大クリームパンダの菓子30万個を、全国の病院給食で使用していたことが08年９月、マスコミで報道。さらに、09年４月には病院給食受注で10億円の所得隠しを国税局から指摘されていました。
低賃金で労働者を使い、安い食材でもうけをあげる大手業者に、患者の命の源である食をゆだねるのか、市民の反撃はこれからです。
